すまい給付金は共働きでも共同名義でも給付額の上限は変わらない
目次
- すまい給付金の上限は決まっています
- ポイントは「持分割合」
- 実際にシミュレーションしてみよう
- 住宅は夫婦の共同名義がおススメ
- 増税で制度はこう変わる!共働き夫婦はどうなるの?
- 共働き夫婦ならではのメリット
- コロナの影響ですまい給付金はどうなってる?
- 【まとめ】共働きでも給付は受けられる!
国が設けている給付金制度は、基本的には「金銭的に余裕がない人のため」という大前提があります。
となれば、共働き夫婦は「お金に余裕がある」とみなされ、すまい給付金も対象とならないように思われるかもしれませんね。
しかし、実際は共働きでも給付金はもらえます。
ここでは、すまい給付金の支給条件や金額についてまとめていきます。
共働きであろうとも、それぞれの年収が低かったり子供がいたりすれば、生活に余裕があるとはとても言えないはずです。
すまい給付金をもらい損ねないように、制度の概要をしっかり確認しておきましょう。
すまい給付金は、消費税の税率引き上げに伴って生じる住宅取得者の負担を減らすための制度です。
消費税が8%から10%になったら、1080万円で買えるはずだった家が1100万円になるということですから、その差は大きいですよね。
高額な家になればなるほど差額は大きくなっていくわけですから、「誤差の範囲だ」なんて言ってはいられません。
そこで、国はこのような緩和制度を設け、以下のような基準で給付金を支給し、マイホームの取得をバックアップしています。
詳細は国交省の公式サイト( ⇒ 国土交通省 「すまい給付金」)をご覧いただきたいのですが、参考までに条件ともらえる金額をまとめておきましょう。
- 消費税率8%の時は収入額の目安が510万円以下の人を対象に最大30万円
- 消費税率10%の時は収入額の目安が775万円以下の人を対象に最大50万円
「510万円」「775万円」という金額は、共働きだと超えてしまうケースが多いでしょう。
普通に考えると、「共働きの家庭はすまい給付金の対象にはならない」と思われるかもしれません。
しかし、実際は共働きでももらえます。
積水ハウスの公式サイトでわかりやすく解説しているページがあるのですが、ケーススタディ②はまさに共働き夫婦がすまい給付金を受け取る例ですよね。
出典:積水ハウス 公式サイト かしこく住まいづくり 「すまい給付金をうまく活用しよう」
夫の年収が400万円、妻の年収が300万円で2人の収入額は「510万円」を超えていますが、合計で23.7万円の給付金を受けることができるのです。
すまい給付金の給付額は、「給付基礎額×持分割合」で計算されます。
給付基礎額(消費税8%の場合)
- 収入が425万円以下、都道府県民税の所得割額が6.89万円以下・・・30万円
- 収入が425万円超え475万円以下、都道府県民税の所得割額が6.89万円超8.39万円以下・・・20万円
- 収入が475万円超え510万円以下、都道府県民税の所得割額が8.39万円超9.38万円以下・・・10万円
持分割合
その不動産を夫婦で「共有名義」にする場合、誰がどれだけの割合の所有権を持つかを表す数字です。
例えばケーススタディ②の場合は、頭金1000万円で残りの4000万円を夫婦で「5:3」の割合でローンを組んで支払うことになっていますよね。
この場合は、夫の持ち分は5/8=62.5%、妻の持ち分は3/8=37.5%ということになります。
すまい給付金の計算では、この「持ち分」の考え方がとても重要なポイントになるわけです。
ケース②の場合だと、夫の給付金額は20万円で、そこに持ち分の割合0.625を乗じて12.5万円。
妻の夫の給付金額は30万円で、そこに持ち分の割合0.375を乗じて11.2万円。
合わせて23.7万円のすまい給付金を受け取ることができます。
この「持ち分割合」についてはこちらの記事でも紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
また、今後、二世帯での住宅購入を検討されている方は、併せてこちらもチェック。
⇒ 二世帯住宅の場合すまい給付金のもらえる割合は持分割合に応じて変わる
知らないでいるとすまい給付金どころではない税金が発生してしまいますので、正しい知識を身に着け慎重に事を進めることが大事ですね。
自分たち夫婦は、すまい給付金をどのくらいもらえるのか?
上記の計算式だけではイマイチよくわからないという方は、国交省が開設しているすまい給付金のシミュレーションサイトを利用してみましょう。
- 住宅取得時の税率
- 所有権の持ち分割合
- 住宅ローンの利用の有無
- 年収
- 扶養家族
これらの情報を入力するだけで、もらえる給付金の金額が算出できます。
ちなみに、この給付金制度を受けるのは、「ローンを組む」ことが大前提。
例えば、妻側の親から贈与を受けて頭金を現金払いし、残りは夫がローンを組んで返済していくという場合は、妻にも持ち分がありますよね。(直系の贈与のみ贈与税が免除されるという特例制度がありますので、これを使おうと思うと、妻の親→夫への贈与はNGです。つまり、妻が親から直接贈与を受けた分で支払うので、その金額分が妻の「持ち分割合」となるわけです。)
しかし、ローンを組むのは夫なので、妻のほうはこの給付金を受けることはできません。
ローンを組まずに現金で家を購入する場合も、「年齢が50歳以上」という条件がつきますのでご注意ください。
このように、共働きだからという理由で共同名義にしたならば、その持ち分に応じて夫婦“それぞれ”がすまい給付金をもらえます。
夫婦それぞれが住民税を納めている共働きならば、一人暮らしでもらえる給付額に持ち分の割合をかけた額が給付額です。
一人なら30万円のすまい給付金をもらえる人が、1/3の名義になっている場合は10万円もらえます。
夫婦で申請する場合は各々が申請することが基本ですが、住民税の課税証明書以外は重複するでしょう。
この場合、まとめて申請という制度を使えば、書類は1通ですむ仕組みになっています。
手続きが楽になりますね。
ちなみに、共有名義にすると住宅ローンの観点でも「住宅ローン減税が2人分はいってくる」というメリットがあります。
将来的に離婚を予定していないなら、これが一番お得な方法になりますね。
共有名義にするには住宅の購入代金、この場合はローンを別々に組んで払うか、「連帯債務」にする必要があります。
夫婦別ローンの場合はその支払い額に応じて、連帯債務の場合は負担している割合に応じて住宅ローン減税を受けることができます。
ただし、万が一にも離婚した場合は、共有している住宅を持ち分ずつ割って持っていくことはケーキでもないのですから不可能です。
また慰謝料を考慮しなくてはいけない場合なら、どちらに名義を移すかなどで大もめするかもしれません。
ローンが残っている場合だと、何らかの方法で共有名義の住宅を処分して、現金に換えた後に分け合う方法もあります。
もちろんローンだけが残るというケースも考えられます。
共有名義のデメリットはこれぐらいですが、いったん発生すると、とてつもなくメンドクサイことになりますので、うっすらとでも離婚の可能性を感じているご夫婦は「共有名義」は避けたほうが良い購入方法かもしれません。
2019年は消費税が8%⇒10%に増税するということで、すまい給付金の制度にも変更があります。
押さえておくべきポイントは、
- 給付金対象者の収入目安が775万円以下になる(今までは510万円以下)
- 年収450万円以下 (都道府県民税の所得割合7.6万円以下)の方は最大50万円の支給がうけられる
ということです。
これまでは「510万円」が基準でしたので、この変更によってすまい給付金の給付を受けられる対象者は増えるでしょう。
夫婦共働きで、
- 住宅ローンを分けて組んでいる
- 夫婦それぞれの年収が450万円以下である
という条件を満たせば、二人合わせて50万円の満額をもらえる可能性もあるということです。(所有権の分割割合によって金額は異なりますが))
夫婦がお互いに年収450万円以下というのは、若い世代であれば普通にありそうですよね。
「ローンは夫が支払うもの」という考え方自体がすでに古いので、これから家を購入されるご夫婦は持ち分の分け方やローンの組み方についても改めて考えてみることをオススメします。
また、これまでは最大30万円でしたが、この特例では50万円まで引き上げられていますので、今までよりも20万円上乗せされる感じ。
家具の買い替えなどを検討されているようであれば、予定よりもちょっとばかりグレードの高い家具を手に入れることができそうです。
公式サイトでは、消費税増税に伴って生じるであろう質問について回答するページもあります。
⇒ すまい給付金 「よくあるご質問|消費税率の引上げについて」
迷ったり悩んだりしたら、こういったサイトや専用の窓口なども活用しながら一つ一つ抜かりなくクリアしていきましょう。
夫婦で不動産という財産の権利を共有することについては、ソフト面でもメリットがあります。
それは、すまい給付金のような「届け出をすればもらえるお金」について敏感になるということです。
全てのケースがそうとは限りませんが、男性はこういった制度に疎い方が多く、「税金関係は会社の年末調整で全てやってくれる」思っているフシがあります。
かくいう我が家の夫もそうなのですが、すまい給付金や住宅ローン減税などは自らアクションを起こさなければお金がもらえないのだということを知りません。
家を建てたからといって、国から「こういう制度がありますから、どうぞ申請してください」とわざわざお知らせがくるわけではないのです。
また、夫のみの名義で家を買った場合は妻のほうも「ローン関係は夫に任せておけば安心」と任せきりになりがち。
つまり知らずにいると大損してしまうのですが、「共働きで」「共有名義で」家を買った場合は妻のほうがいろいろとリサーチすることで「もらいこぼし」のリスクを低減できるのです。
『大図鑑 届け出だけでもらえるお金』の著者である井戸さんもおっしゃっているように、お金をもらえるタイミングはまるで「人生ゲーム」。
子供が生まれました、家を買いました、リフォームしました、病気で働けなくなりました、介護が必要になりました・・・と、人生の大きなライフイベントは「お金をもらえる」あるいは「控除を受けられる」タイミングなんです。
ですから、すまい給付金だけでなくもらえるお金はいろいろあるので、何か大きなライフイベントがある毎に「もしかして、今ってなにか控除を受けられるタイミングなんじゃないかな?」と勘を働かせて情報収集するクセをつけておくと良いでしょう。
すまい給付金の申請方法についてはこちらで書いていますのでぜひご覧になってみてくださいね。
⇒ 面倒なすまい給付金の申請方法と申請書の提出方法と必要書類入手方法をまとめておきます。
2020年現在は日本全国コロナパニックで大変なことになっていますが、すまい給付金の申請にもちょっとした変更があったようです。
詳しくはコチラの公式サイトに記載されていますが、窓口での対応を縮小していたり、郵送での受付をしていたりして、申請が通るまでに通常よりも余分に時間がかかっている模様。
申請をされる方は、余裕を持って動いたほうが良いでしょう。
ただ、制度そのものについての大きな変更などは今のところありません。
一方で、「住宅ローン控除」については大きな変更点があったようです。
それは、控除を受けられる期間が延長されたということ。
コロナの影響で工事・入居が遅れていることを考慮し、入居期限が2020年12月31日→2021年12月31日と丸一年延長されたのです。
この特例措置があったおかげで新築の契約に踏み切れた!という方も多かったようですね。(2020年11月末までの契約が対象でした)
もしかしたら今後も、コロナの感染状況に応じて同じ様な救済措置があるかもしれません。
定期的な収入が絶たれてしまい、ローンの返済自体がままならない状態になっている方も多くいらっしゃるわけですから、消費者としては「もっと緩和策を出してくれないかな」と期待してしまいますよね。
もちろん、住宅ローンそのものの支払いスタイルを変えることもできるので金融機関に相談してみることも緊急手段の一つです。
加えて、オトクな情報を見逃さないためにも、ローン控除、住まい給付金ともに最新の情報を逐一チェックするように心がけましょう。
「すまい給付金」は、住宅ローン減税の恩恵を十分に受けられない人のために創設された制度です。
住宅ローン減税は、支払っている所得税の税金を元に減税してもらえますが、これだと収入が低い人は十分なメリットを受けることができません。
一方、すまい給付金は収入に応じて給付金が変わるので、収入が低い方ほどメリットがあるのです。
また、共働き夫婦であっても給付を受けられるのもポイント。
損することなく給付を受けるには、以下の基本事項をよく理解しておく必要があります。
- すまい給付金は、その不動産の「持ち分割合」に応じて支払われる
- そのため、不動産は夫婦の共有財産にしておくのが好ましい
- ただし、この給付を受けるのは住宅ローンを組むことが大前提
- 現金払いの場合は50歳以上でなければ給付を受けられない
- 共有財産にしておくと、離婚した時は厄介である
共有財産にすることで、夫婦の連帯感が生まれたり、妻側にも“自尊心”が生まれるというメリットがあります。
が、その一方で「互いの権利を主張し合う原因になる」「離婚が泥沼化しやすい」というデメリットも。
「不動産」という鎖でお互いを緩やかに縛り合う関係が、自分達夫婦にとって吉と出るのか凶と出るのか?
・・・よく考えてから決断しましょう。
平屋建ての総合情報
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